一志短篇连载小说 - 第三部「鬼談」第二回 「贈り物」
第二回 「贈り物」
俺とB子は同じバンドのメンバーであり恋人だ。勿論他のメンバーも公認済みで、付き合いだした当時はギクシャクしてリズムがよれたりしていたけど、慣れてきてからは息もピッタリでいい感じにグルーヴが出せるようになったし、お互いにお互いを励ましながら相乗効果を生んでやれてるように思う。これで人気が出てくれれば万々歳なんだが…。いかんせん世の中そう甘いもんじゃない。ライブは持ち時間20分のイベントだし、ノルマである30枚のチケットが売れ残れば、自分達で金を出し合って補填しなけりゃならない。
だから俺達は日々バイトをする。バイトをすれば練習の時間が削られて腕が上がらない。しかし、働かなければ食っていけない…。
いわゆる堂々巡りな訳だが、それでも俺達は自分達の創る音楽を信じて少ない時間をなんとか寄せ集め、週に2回のスタジオを欠かさないようにしていた。しかしながら、時間が経つにつれて現実ってやつは俺達を不安に陥れる。
結成して2年が経った頃、ついにドラムが脱退したいと言ってきた。そいつは、リーダーである俺の再三の説得にも耳を貸さずスティックを置いて、髪を烏みたいに不自然な黒に染め上げ、決まっていたライブも飛ばして去って行った。一気に士気が下がった俺達だったが、なんとかライブに間に合うようにサポートのドラマーを見つけて、20分のステージに穴を空ける事無く演奏する事が出来、その後そのサポートドラマーを正式にメンバーに迎え、気分一新頑張ってきたのだが、今のメンバーになって1年が過ぎた現在、今度はベースが抜けたいと言い出して、さすがに心が折れた俺はどうするべきかと思い悩んだ挙げ句、解散という答えに行き着いた…。
彼女であるB子には他のメンバーより先に伝えようかとも思ったのだが、それではフェアでないと踏んだ俺は、皆がいる所でその事を打ち明ける事にした。
スタジオの帰りにいつものファミレスに車座に座り、皆それぞれに飲み物を注文したのを見届けた俺は、着けたばかりの煙草の火を灰皿に押し付け、煙を一つ吐き出してから切り出した。
「突然…。こんな事を言うと驚くかもだけど、もう、解散しようと思う…」
俺がそう告げると、なんとなく察していたのか皆一斉に下を向いてしまった。それを暗黙の了解だと受け取った俺は、
「でも、俺達は頑張ってきたよ。そうだろ? 別に負けた訳でも逃げる訳でもない。ただ、ちょっとばかり世間の奴らに見る目が無かっただけさ…。いや、聴く耳かな? ハハッ…」
そう言って自重気味に微笑った俺に向かって、泣きたいのを堪えていたのか顔を真っ赤にしたB子が、
「そうだよ…。私達はよくやったよ…。だから、最後のライブ、精一杯やって悔いの残らないよ、う、に…」
そこで涙腺が欠壊したB子はテーブルに突っ伏してしまった為、どうしていいか解らない俺達はしばし無言の時を過ごしたのだが、ドラムの奴がそろそろバイトの時間だと言うので次のスタジオの日程だけ確認すると帰って行き、そのすぐ後にベースも席を立った。
二人きりになってからもしばらくB子は顔を上げなかったが、ようやく落ち着いてきた様子で運ばれて来たまま放置された炭酸の抜けたコーラを一口飲むと、
「最後なんだから、悔いの残らないようにしなきゃねっ!!」
と、さきほど最後まで言えなかった台詞を精一杯の虚勢を張って言った後、残りのコーラを飲み干した。
B子の言う最後のライブとは、「クリスマスカーニバル vol.5」というイベントで、その名の通りクリスマスイブに行われる特に珍しくもない催しなのだが、俺達にとっては特別にして最後のライブなので、それぞれ熱の入りようが違った。無理をして深夜まで練習したし、当日の曲順なんかも念入りに決めて準備に余念が無かった。その上、事情を知ったライブハウスの店長も気を利かせてくれて、当日のトリを飾らせてくれる事になったのだが、俺にはもう一つ考えなければならない事がある。
そう、B子へのクリスマスプレゼントだ。年中金の無い俺に、高価な物は買えない…。2年前はUFOキャッチャーのぬいぐるみだったし、去年は露店で買ったシルバーのリングだった。だが、今年はB子の最後の晴れ舞台にどうしても買ってやりたい物があった。それはB子のロングヘアーにとても似合いそうなドレスで、ある時スタジオの帰りに服屋のショーウインドウでそいつを見つけたB子が、
「わ~。凄く奇麗っ!! ねえねえ、このドレス私に似合うと思わない? ね? 絶対似合うよね??」
そう言って自慢の長髪をなびかせてクルッとまわって見せたのだが、値札を見て目を丸くした俺は、
「ああ、似合う似合う。バンドが売れたらいくらでも買ってやるさ」
と言って名残惜しそうにそいつを見つめるB子の手をとると、そそくさとその場を去ったのだった。
なんとかして金を作ろうと思った俺は、苦労して貯めた金で買った愛用のギターを売る事にした。そのほうが踏ん切りがつくし、何より、どうしてもあのドレスをB子に着せてやりたかったからだ。中古楽器屋でギターを金に換えた俺は、そのままあのドレスが飾ってあった服屋に行き、有り金をはたいてそいつを買うと、丁寧に梱包された荷物を両腕に抱えるようにして店を出た。
俺は、その日までこのプレゼントを内緒にしておいてビックリさせようとしていたのだが、実際驚かされたのは俺のほうだった…。
ライブ当日、リハーサルの時間が迫っているというのにB子が来ない。何回も時計に目をやりながら貧乏揺すりをしていたが、どうにも落ち着かず外に様子を見に行こうと椅子から立ち上がったのと同時に楽屋の扉が勢いよく開かれ、
「ごめん。遅れちゃった…」
とハアハア言いながらB子が現れたのだが、その姿を見て俺は愕然としてしまった…。B子の自慢の長髪がバッサリと無くなって、見事なショートヘアーになっているではないか…。
「お、お前。それ…。その頭どうしたんだよっ!?」
指をさす俺にB子は息を切らしながら矢継早に、
「ああ、これ? これは…。気分転換よっ! 変? それよりこれ。今日これ使って。ね?」
「あっ! それはっ!!」
B子の頭に度肝を抜かれて気がつかなかったが、彼女が両手で持っていた重そうな物は、前から俺が欲しがっていたアンプだったのだ…。なおもB子は肩で息を整えながら、
「前から欲しがってたでしょ? 俺のギターにはこのアンプの音が最高に合うって言ってたじゃない。だから、これ、プレゼント。」
結局、B子はショートヘアーにはアンバランスなドレスを着て歌い、俺はB子に贈られたアンプに安物のギターを繋げて弾いたのだが、ライブはそれなりに盛り上がった。
演奏を終えてからB子に聞いた話によると、高額なカットモデルのバイトを見つけたらしく、ライブの前日にその自慢の長髪を切ってしまったらしい。
俺達は、相手の事を思うあまり、言うなれば無意味とも言えるプレゼントを贈り合ってしまったのだ。お互いの顔を見て苦笑した俺達だったが、不思議と心は満たされていた。
楽器の片付けを終えて、今まで世話になってきたライブハウスの店長や、友達のバンドに挨拶をして店を出ると、外には雪が舞っていた。
それを見たB子は、子供のようにはしゃいで我先にと駆け出して夜空を見上げると、あの時のようにクルッとまわってから、
「ホワイトクリスマスだねっ! サンタさんからの贈り物だね!!」
そう言ってクシュッと、一つくしゃみをして笑ったんだ。
第二回「禮物」
我和B子是同在一個樂隊的戀人。不用説其他成員都認同過,開始組隊的時候時常會有小摩擦,(演奏時)節奏也不合拍,不過相處慣了之後相當默契,音符也變得十分美麗,能做得這麽好是互相鼓勵着產生了相乘效果吧。要是就這樣能帶來人氣就万万嵗了…。然而這個世界不是這麽單純的。Live是只有20分鐘的event,要是30張票的任務完不成,賣不掉的部分必需要我們自己掏腰包作爲補償。因此我們每天要打工。打工的話就會縮短練習時間沒有辦法提高技術。但是不工作連飯都吃不上…。
雖然有毫無進展的感覺,但是我們相信着自己創作的音樂,哪怕是一點點的時間都會集合在一起,一周至少進工作室2囘。然而,隨著時間的推移,我們陷入了對現實的不安之中。
自結成起經過2年之時,鼓手終于表態想要退出。這個傢伙,對隊長我的勸説充耳不聞,把鼓棒丟在一邊,頭髮的顔色染成不自然的黑,像烏鴉一般,扔下已經決定演出的live徑自去了。我們的士氣低了一截,不過我們總算找到一個頂替他的鼓手,保證live能正常進行,20分鐘的演出全場無缺,然後這位頂替的鼓手正式成爲了我們的隊員,本該煥然一新的繼續努力,然而過了1年之後,現在是bass說想要脫退,我十分傷心,不知如何是好,苦惱后得到的是解散這個答案…。
我在告訴其他隊員之前,本想先告訴她(B子)這個決定,不過覺得這樣不公平,於是就到大家聚集的地方去説明我的想法。
從工作室出來,我們在一直光顧的餐廳裏圍坐在一起,我看着大家點完飲料,把剛點着的香煙在煙灰缸裏掐滅,吐出一口煙之後打開了話題
“突然…。說出這種事大家可能會驚訝,我想我們還是解散吧…”
我剛說完,可能大家無意中察覺到了吧,都低頭不語。我想他們是默認了,於是說道:
“不過,我們很努力了。對吧?並不是認輸也不是逃避。只是,這個世上的傢伙有眼無珠…。不對,是耳朵不行吧?哈哈…”
這麽說着,我自我滿足的微笑着,對面,滿臉通紅仿佛在極力忍住淚水的B子說:
“是啊…。我們做得很好了…。所以,最後的live,要竭盡全力希望不要留下、遺、憾…”
然後大概B子再也忍不住了,突然趴在了桌子上,我不知道該怎麽辦才好,暫時沉默了一會,這時鼓手突然說打工時間快到,確認了一下下次工作室練習的時間就回去了,然後bass手也馬上站起身來(離開)。留下我們兩人獨處,過了一會,雖然B子沒有擡起頭來,但總算是冷靜下來,送來的可樂原樣未動,碳酸氣已經跑光了,她喝了一口,把剛才沒能說出來的最後台詞虛張聲勢的說了一遍:
“因爲是最後的演出,一定不能留下遺憾!!”
接着就一口氣喝光了杯中的可樂
B子所提到的最後的live,是叫做「Christmas Carnival vol.5」的EVENT,就想這個名字一樣,在平安夜的LIVE不足爲奇,但是對我們來説是特別的,最後的LIVE,各自投入的熱情不一樣。已經拼命練習到深夜,也熟背了當天的曲目順序,完全無暇顧及其他。而且,LIVEHOUSE的店張也為我們着想,為我們裝飾好了當天演出的道具,不過我還有一件事不得不想。
是的,送給B子的聖誕禮物。我一年到頭都沒錢,買不起高價的東西…。2年前買了UFOキャッチャー的布偶(高價商品)給她,去年也在小攤上買了銀戒指。但是,今年是B子最後一次在舞臺上亮相,有件禮物無論如何都想送給她。是一條與B子的長髮十分相稱的裙子,那時B子在從工作室回家的路上經過一家服裝店,看到了櫥窗裏展示的這條裙子:
“哇~。超漂亮!!喂喂,不覺得這條裙子和我很相稱嗎?是吧?絕對合適吧??”
她說着讓我撫摸她那引以爲豪的長髮,不停的轉圈讓我看,不過一看价簽,我就瞪大了眼睛
“啊啊,合適合適。要是樂隊大賣了要多少我給你買多少”
說着拖起盯着裙子戀戀不舍B子,慌忙離開。
我想不管怎樣都要弄錢,於是就把辛苦存錢買的愛用吉他買掉了。這樣倒更乾脆,更重要的是,無論如何都要讓B子穿上那條裙子。我從中古樂器店把吉他換了錢,徑直去了那家服裝店,傾盡所有財產把衣服買下來,抱着小心翼翼包裝好的衣服出了商店。
那天到來之前,我把這個禮物藏好,想到時給她一個驚喜,然而實際上感到震驚的是我…。
LIVE當天,排練的時間緊迫,但是B子沒來。搖晃着腿看了無數次表,我怎麽都冷靜不下來,到外面去看看吧,於是從椅子上站起來,就在這時樂屋(後臺準備室)的門突然被猛的推開
“對不起。我遲到了…”
B子呼呼的喘着氣現身了,然而看見她的樣子我愕然…。B子引以爲豪的長髮不見了,竟然變成了不折不扣的短髮…。
“你、你。這是…。你把頭髮怎麽了!?”
我指着B子屛住呼吸問,B子馬上答道
“啊啊,這個?這個是…。氣氛轉換噢!奇怪?比起頭髮還有這個。今天會用這個吧?”
“啊!這個是!!”
在糾結B子頭髮的時候沒有注意到,她兩手拿着的看起來很重的東西,是之前我很想要的吉他功放機…。然後B子邊休息邊說道
“你之前就很想要的吧?你不是說過‘這個功放配合我的吉他能彈出最棒的樂音’嗎。所以,這個,送給你。”
結果,B子穿着和短髮不搭的裙子唱歌,我用B子送的功放連接上廉價的吉他,然而LIVE卻十分熱烈。
表演結束的時候聼B子說,找到了高薪的剪發模特工作,所以就在LIVE的前一天把自豪的長髮給剪掉了。
我們都只為對方着想,互相贈送了可以說是毫無意義的禮物。雖然我們面對面的苦笑,但是心裏卻非常充實。整理好樂器,和一直給與我們幫助的LIVEHOUSE店長、樂隊的友人道別之後走出門,外面白雪紛飛。
B子看到這樣的景象,像小孩一樣跑了出去,歡笑着擡頭望向夜空,像那個時候一樣轉着圈:
“是個WHITE CHRISTMAS呢!是聖誕老人的禮物!!”
她說着“阿嚏”一聲,打了個噴嚏,綻放出了笑容。
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